芥川賞、群像、新潮、すばる、文藝、文學界等の新人賞受賞作の読書感想

読書感想

『月まで三キロ』伊与原新(著) 読書感想

『月まで三キロ』 伊与原新(著)  (新潮社) 表題作の『月まで三キロ』を含め全6話からなる短篇集です。 『月まで三キロ』では、いきなり自殺を考えている男が主人公として登場します。正に死の淵のギリギリの場所に立っている男 …

『淵の王』舞城王太郎(著) 読書感想

『淵の王』 舞城王太郎(著) (新潮社) 三部作になっていて、中島さおり、堀江果歩、中村悟堂と、各章ごとに主人公は変わり、ストーリーもそれぞれに個別な展開をします。しかしながら、どこか深い所にある闇を通して繋がっていると …

『百花』川村元気(著) 読書感想

『百花』 川村元気(著)  (文藝春秋) レコード会社勤務の38歳の息子(泉)と、アルツハイマーを発症した母親(百合子)の物語。 母子家庭だった親子の間には、秘密があります。その秘密もろとも、母親から消えて行くところなん …

『螺』米田夕歌里(著) 読書感想

『螺』 米田夕歌里(著)  (『すばる』2019年5月号に掲載) 自分の理想を子に押し付ける、いわゆる毒親に育てられた姉妹が大人になって直面する現実と、子供時代の記憶の物語。 昨日の自分と今日の自分が絶対に同じ人間だとは …

『先生と私』畠山丑雄(著) 読書感想

『先生と私』 畠山丑雄(著)  (『群像』2019年6月号に掲載) 京都を舞台に展開される大学生たちの恋愛譚。 本作に登場する「先生」は、何年も留年を繰り返している現役の小説家で、夏目漱石の『こころ』に登場する「先生」を …

『そこどけあほが通るさかい』石倉真帆(著)第62回群像新人文学賞受賞作品 読書感想

第62回群像新人文学賞受賞作  『そこどけあほが通るさかい』  石倉真帆(著)  (『群像』2019年6月号に掲載) 地の文も会話も全編が関西弁で書かれていて、読みはじめはややリズム感のない手触りで、そこが微妙な距離感に …

『五つ数えれば三日月が』李琴峰(著) 第161回芥川賞候補作品 読書感想

第161回芥川賞候補作品 『五つ数えれば三日月が』 李琴峰(著)  (文藝春秋) 台湾籍の日本の小説家、李琴峰さんの小説。 台湾で生まれ育ち、東京の大学院を卒業してそのまま東京で就職した主人公の女性と、彼女が想いを寄せる …

『百の夜は跳ねて』古市憲寿(著) 第161回芥川賞候補作品 読書感想

第161回芥川賞候補作品 『百の夜は跳ねて』 古市憲寿(著)  (新潮社) 社会学者でコメンテーターとしてテレビなどメディアで大活躍の古市憲寿さんは、昨年『平成くん、さようなら』でも芥川賞候補となりましたが、今回二度目の …

『鳥公爵と梔子の午後』須賀ケイ(著) 読書感想

 『鳥公爵と梔子の午後』 須賀ケイ(著) (『すばる』2019年5月号に掲載) 大学で言語学を教えている河合という准教授の視点から描かれています。 河合には光助という息子がいますが、妻との離婚後、事情があって育てること …

『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』高山羽根子(著) 読書感想

『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』 高山羽根子(著)  (集英社) 『居た場所』で、第160回芥川賞の候補になった高山羽根子さんの中篇。 題名になっている「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」というのは、ボブ・ディラ …

『しずけさ』町屋良平(著) 読書感想

『しずけさ』 町屋良平(著) (『文學界』2019年5月号に掲載) 前職をクビのような形で自主退職した主人公の「かれ」(20代前半)は、実家に戻り親と同居生活。昼間はほとんど眠り、夜になると起きて近所を散歩し、何をするで …

『蜜の静かに流れる場所』黒川創(著) 読書感想

『蜜の静かに流れる場所』 黒川創(著)  (『新潮』2019年5月号に掲載) 大戦中、兵隊として満州に派遣され戦後はソ連軍の捕虜となった体験をする画家、言語聴覚士として画家の元に訪問介護で週2回訪れるシングルマザーの女性 …

『百瀬、こっちを向いて。』中田永一(著) 読書感想

『百瀬、こっちを向いて。』 中田永一(著) (祥伝社文庫) 作者の中田永一さんというのは、ミステリ作家の乙一さんと同一人物だそうです。 乙一さんの作品自体、実はまだちゃんと読んだ事がなかったのですが、表題作である『百瀬、 …

『私の中のわたしたち』オルガ・R・トゥルヒーヨ(著)/伊藤淑子(訳) 読書感想

『私の中のわたしたち』 オルガ・R・トゥルヒーヨ(著) 伊藤淑子(訳)  (国書刊行会) 子供時代(はじまりは3歳の時から)実の父親から性的虐待を受け続け、解離性同一障害(DID)と診断された女性が、自らの体験と、大人に …

『人生は驚きに充ちている』中原昌也(著) 読書感想

『人生は驚きに充ちている』 中原昌也(著)  (『新潮』2019年5月号に掲載) 語り手はライターの男で、妄想なのか現実なのかよく分からない浮遊感のある時空を、とりとめもなく過ごしているような感じがした。  

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