芥川賞、群像、新潮、すばる、文藝、文學界等の新人賞受賞作の読書感想

読書感想

『背高泡立草』古川真人(著)読書感想

『背高泡立草』 古川真人(著) (集英社) 古川さんといえば、デビュー作からずっと長崎の離島を主な舞台に展開する一族ものの小説を書き続けていますが、本作もやはり同じ家族の物語です。 今回は、二十年以上も打ち捨てられたまま …

『人間』又吉直樹(著) 読書感想

『人間』 又吉直樹(著) (毎日新聞出版) お笑い芸人であり、作家でもある又吉直樹さんの長編小説。 読み終わった感想は、ああ長かったな、というものだったのですが、読んでいる間はずっと楽しかったです。 なんだか、又吉さんが …

『アフロディーテの足』太田靖久(著) 読書感想

『アフロディーテの足』 太田靖久(著)  (『群像』2019年10月号に掲載) 2010年に『ののの』で新潮新人賞を受賞しデビューした太田靖久さんの中篇小説。 どうやら風采の上がらないらしい、自称アーティストの中年男(馬 …

『語り手たち』間宮緑(著) 読書感想

『語り手たち』 間宮緑(著) 『群像』2019年9月号に掲載) 物語を語る「語り手」が主人公という、ちょっと変わった作品です。 語り手は主人公でありながら名前もなく、出生も分からず、現実に存在しているのかすら不明。 語り …

『早春』沼田真佑(著) 読書感想

『早春』 沼田真佑(著) 『群像』2019年9月号に掲載) 芥川賞作家の沼田真佑さんの短編小説。 主人公の木山は、どこか作家自身と重なって読めて、三人称なのに私小説を読んでいるような感覚。鬱々とした40男のリアルな日常が …

『夜の底の兎』木村紅美(著) 読書感想

『夜の底の兎』 木村紅美(著)  (『群像』2019年9月号に掲載) 事実婚の夫とその浮気相手の間に子供が出来て別れる事になった主人公は、もうすぐ子供の産めなくなる年齢に差し掛かった女性です。 産まない事を選んで生きてき …

「音に聞く」高尾長良(著) 読書感想

「音に聞く」 高尾長良(著)  (文藝春秋) 三人称で書かれた手記(作者は作中にも出てくる有智子なる女性)を、文学好きの女性である「わたし」が、友人の男から読んで欲しいと託された、という前提があり、その後に当該の手記が続 …

『悪童日記』アゴタ・クリストフ(著)/堀茂樹(訳) 読書感想

『悪童日記』 アゴタ・クリストフ(著) 堀茂樹(訳)  (早川書房) 第二次世界大戦下のオーストラリアとの国境線に近いハンガリーの田舎町(だと推定される)に、双子の男の子たちが母親に連れられてやってくるところから物語はは …

『まっ白な嘘』フレドリック・ブラウン(著)/中村保男(訳)読書感想

フレドリック・ブラウン短編集1 『まっ白な嘘』 フレドリック・ブラウン(著) 中村保男(訳) (創元推理文庫) 短編集というより、ショート・ショート集、と言った方がいいのかなと思います。短いストーリーの中に、かなり意表を …

『おいしい家族』ふくだももこ(著) 読書感想

『おいしい家族』 ふくだももこ(著)  (集英社) 結婚3年目にして夫婦として機能しなくなった夫との関係に悩んでいる主人公の女性が、母親の三回忌に故郷である島に帰郷し、そこで久しぶりに再会した家族との交流が描かれています …

『ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles』村上春樹(著) 読書感想

[短篇]『ウィズ・ザ・ビートルズ   With the Beatles』 村上春樹(著)  (『文學界』2019年8月号に掲載) 『文學界』に、連作短編の一つ(その4)として掲載された村上春樹さんの作品です。 「僕」とい …

『デバッガー』金原ひとみ(著) 読書感想

『デバッガー』 金原ひとみ(著)  (『新潮』2019年8月号) 35歳でクリエイティブディレクターという肩書きをもつ主人公の女性(「私」)が、11歳年下の部下の男と交際をスタートさせたことで、美容整形地獄に嵌っていき… …

『生きてるだけで、愛。』本谷有希子(著) 読書感想

第135回芥川賞候補作 『生きてるだけで、愛。』 本谷有希子(著)  (新潮文庫) 高校時代、なんとなく学校生活がかったるいという理由だけで、体中の毛を(まつげと鼻毛以外)剃ってしまったことがあるという、自意識の非常に強 …

『むらさきのスカートの女』今村夏子(著)第161回芥川賞受賞作品 読書感想

第161回芥川賞受賞作品 『むらさきのスカートの女』 今村夏子(著) (朝日新聞出版) 「むらさきのスカートの女」として、近所ではちょっとした有名人である一人の女に興味を抱いた語り手の人物は、彼女と是非とも友だちになりた …

『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』木下古栗(著) 読書感想

『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』 木下古栗(著)  (講談社) まず、題名がいい。しびれます。 物語は、とある会社のオフィスで、進行中の案件をほったらかして失踪した男(米原正和)を、当の失踪しているはずの(?! …

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