観なかった映画

『観なかった映画』

長嶋有(著)

(文藝春秋)

 

 

 

私が個人的に大好きな長嶋有さんが、映画通や映画評論家とは違った視点から映画を鑑賞して、したためた映画評やエッセイなどをまとめたもの。

2012年6月1日号から2014年5月1日号までの「キネマ旬報」に連載されたものや、2009年8月から2010年8月まで「週刊現代」にブルボン小林名義で連載されていたもの、映画のパンフレットや雑誌に単発で書いたエッセイ群など、映画と長嶋有を同時に満喫できる一冊となっています。

やはり、なんといっても面白いのは、視点や感性が独特であること。

あと、いろんな意味で、映画に媚びてないところ(つまらないものまでさも面白いかのように宣伝する、映画の売り手側の立場で書いてない。だけど、映画に対する敬意や愛情は、十分に感じられる)が、良い。

映画通を気取ることもなく、素朴に映画の話をしてくれてて、そこが楽しいし、良かったと書かれていたものは、素直に「良かったんだろうな」と思える。

自身の作品で映画がされた二作(「サイドカーに犬」「ジャージの二人」)の映画化に及んでの裏話も書かれていて、どちらもまだ小説しか読んでないので、これから映画の方も観てみようかな、とか思いました。

映画と小説の違いについて、自身の作品の例をとって、少しだけ触れてくれていたことも、作家志望としては勉強になりました。

あと、巻末にまとめられた「映画備忘録」も、作品ごとのコメントが読めて、個人的なオススメ作には☆印までしてくれてて、これも”◎”でした(*ノωノ)

謎の💀(髑髏マーク)がついた作品は、ことさら気になって仕方ありません。レンタルしてみようかな。

 

【参照】

→『ジャージの二人』の読書感想はこちら