『夏物語』(前篇) 川上未映子(著) (文藝春秋、『文學界』2019年3月号に掲載)

 

芥川賞受賞作である『乳と卵』。これを新たに加筆し、再構築したもの……と言ってよいのでしょう。

前篇は第一部と第二部から構成されていて、第一部が『乳と卵』を新たに書き直した内容になっています。

『乳と卵』の読書感想に関しては、以前に投稿しているので、そちらを読んでいただくこととして、新たに解説はしませんが、ただ元々の作品よりも成熟して、バージョンアップしている、という印象であったことだけ述べておきます

 

→『乳と卵』の読書感想はこちら

 

ただ気になったのは、どうして今この作品だったのか、ということ。

既に書き終えて、一定の評価も得ている作品を、自らリメイクし書く意味が、作家として成熟しそれなりの地位も獲得している今現在の彼女に大事だったのか、など気になるところです。

物語は第二部に移ってからは、『乳と卵』のその後が描かれているので、そこは興味深い内容でもあると思います。

後篇でどのような展開になるのか、期待したいところです。