作者の分身ともいえる主人公(貫多)が師と敬う、藤澤清造の残した書簡に纏わる短篇。
かれこれ18年程前、貴重な師の手蹟を手に入れた貫多は、大切に保存する為に扁額を造ろうとするのですが……。
遠い日の空回りしてしまった手蹟への想いを、貫多が取り戻す話。
少しほろ苦いようで、なぜか優しい気持ちにもなりました。