『世界が終わる前に』
『サンディエゴの38度線』
『六本木のネバーランド』
はあちゅう(著)
(『群像』2017年2月号に掲載)
人気ブロガーである、はあちゅうさんが、雑誌『群像』に発表した三つの短編小説です。
作家としては、既に活動していたようですが、”デビュー小説”と『群像』の表紙には記載されているので、小説として発表されるのはこれがはじめて、ということでしょうか。
ブロガーとして、なにかと世間を騒がせてきた方のようですが、ここでは純粋に小説を読んだ感想のみを述べたいと思います。
まず、率直な意見ですが、三作品とも、非常に良かった。
特に、留学先で出会った男友達との関係を描いた『世界が終わる前に』は、素晴らしかったと思います。
主人公の「私」と、人気者で浮気な男友達との間に芽生える、”男でも女でも、友達でも恋人でもない”という微妙な関係性が上手く捉えられていて、人間の「孤独」にまで鋭く切り込んでいるラストは、並の筆力ではないと感じました。
三作品とも、男と女の物語なのに、”love”ではなく”like”という感情での繋がりであり、”love”を越えた大きな”like”の存在を感じるのも、三作品に共通した点だったと思います。
もっと色々な短篇小説を、これからも書いて欲しいです。