『僕ボードレール』
青木淳悟(著)
(『群像』2017年2月号に掲載)
都立高校に通う高校三年生の文学少年と、1839年に高校三年生に相当する時期にいた、シャルル=ピエール・ボードレール。
決して交わることのない二つの青春が交互に描かれ、しかしそれでいて、確かに繋がっているという気がしてきてしまう。
もちろん、少年はボードレールの愛読者に違いない。そして、彼が敬愛する、美と狂気に彩られた偉大な詩人も、かつては不器用に青臭い青春を送っていた少年だったのだ。
そんな二人の少年を重ねてみると、『悪の華』も、少し違った風味で読めてきそうだ。