(本屋大賞2016年第2位)
『君の膵臓をたべたい』
住野よる(著)
双葉社
主人公の「僕」は、盲腸の手術の抜糸で病院に寄った時、ロビーのソファーに置き忘れられていた一冊の本を見つける。
本好きの「僕」は何となく興味を持って、手にしてみると、それは「共病文庫」と題された日記で、偶然同じ病院に居合わせていたクラスメート山内桜良のものだった。 そこには桜良の秘密――膵臓の病気で彼女がやがて死ぬことーーが記されていて、「僕」はそれを知ってしまった。 非友好的で陰気な性格の「僕」とは反対に、明るくて友達の多い性格の桜良だが、秘密を知ったことがきっかけで、二人の交流がはじまる。
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だいぶショッキングな題名、そして「死」(それも、青春のただ中にある「死」)が作品の主軸に置かれています。
どれだけの覚悟で、作者がこの小説の中の「死」と向き合っていたのか……。それを感じ取れた人には、なにかしら響くものがあるのでしょう。
個人的には、疑問な点が幾つかありました。
主役である二人(「僕」と桜良)の人物造形に関わることがほとんどですが(あと、医学的な領域でも一つ)、それらとは別に私を悩ましたのは、どうして「僕」の名前を最後の方まで隠し通しておいて、「秘密を知ってるクラスメイト」くん、とか「地味なクラスメイト」くんとか、呼び続けていたんだろう? 流行ってるのかな? という素朴な疑問でした??