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『最後のストロー』

山崎ナオコーラ(著)

(『文學界』2019年1月号に掲載)

 

山崎ナオコーラさんの短篇です。

「見城」という30代後半の既婚女性が主人公の小説です。

「見城」というのは、彼女のそもそもの名前ではなくて、結婚することにより得ることになった、つまり旦那さんの苗字です。結婚に際し、どちらの名前を名乗るかということが夫婦で話し合われ、彼女は進んで自らの姓を捨てて、新しい名前を選んでいます。

このエピソーは、近年話題になることも多くなった「夫婦別姓」の問題に対する、違う角度からのアプローチにもなっていると思います。

結果ではなくて、動機。つまり、彼女が何を望んだから、その結果そうなったのだ、という主体性が肝要なのだと言っているのです。

女性の社会貢献と育児の問題にも触れていて、仕事を減らし子育てを一手に引き受けているのは押し付けられたからではなく、自ら望んでそうなっているのだと、彼女は主張します。

題名にもなっていますが、環境破壊の一員とも言われて、最近使用禁止が叫ばれているストローに関して、彼女は自分なりの持論を展開します。

これは、元々プラスチック愛好家だった見城がストローを封印してしまうまでの物語、というか、思考の旅のような小説なのです。環境について、彼女は学び、やがて一つの気づきに到達します。