『ハレルヤ』
保坂和志(著)
(『新潮』2018年4月号に掲載)
亡くなった飼い猫たちとの思い出をつづった、切なくて美しい短篇です。
単なる猫好きという領域を超えて、猫という生き物に深い愛情を抱いているのが、文章の節々から伝わってきて、ほろりとしてしまいました。
また、作者である保坂和志さんの優しい人柄も伝わってきます。
小説は、人柄だけで成立するものではない、と思うのですが、その優しさや孤独に触れてみたくて、その人の書籍を手に取る、ということはあります。
保坂さんの小説を読んでいると、最終的には絶望ではないものを常に見据えて書かれているという気がして、それが信念のように響いてくる。
そういうところが、とても好きだな、と思います。