『とりあえずこのままいこう』
町田康(著)
(『群像』2017年12月号に掲載)
『群像』に掲載された、町田康さんの短編です。
病気で死んだ後も、「生まれ変わって戻ってこい」という飼い主の言葉を覚えていて、一度は冥界をさ迷いながらも元の世界に戻ってくる犬の話。
……といっても、生まれ変わってみるとどうやら猫になってしまっているようなのですが、魂は犬の時の記憶を宿しているという、複雑な生き物になります。
短篇ですが、なかなかに展開が面白くて、ひたむきに元飼い主である「家の人」を慕っている主人公の動物が、(犬であれ猫であれ)、健気でかわいらしく、妙に滑稽でした。