『ショパンゾンビ・コンテスタント』

町屋良平(著)

(『新潮』2019年4月号に掲載)

町屋良平さんの、芥川賞受賞後第1作目になる作品です。

彼の小説の魅力というかあり方を、私はいつもつかみ損ねてしまうのですが、本作を読んで少しだけ分かった気がします。

彼の作品は、”妙に甘酸っぱい”ということ。ただ甘いのではなく、仄かに酸っぱい。飲んでみると、爽やかなレモンソーダみたいな味覚……なのですが、単純に美味しいかというと、必ずしもそうではなくて、されどけっしてまずい訳でもなくて、どうにも表現し難い味わいがする。私個人は、そこに微かな苛立ちを感じ続けてしまうのですが、これが癖になってしまうという読者は多いのでしょう。

本作では、微妙なバランス感覚で成り立っている若い男女の三角関係が描かれています。淡くて甘くて酸っぱくて、微妙。

絶妙に胸をざわつかせてくれる読み心地、と表現すれば良いのでしょうか。

しかし、芥川賞を受賞した『1R1分34秒』もそうでしたが、やはり私はまだまだ町屋良平という作家の世界をつかみ損ねてしまっているという気がします。そのせいか、終始落ち着かない気分にさせられた作品でした。