『ファイア』 大前粟生(著) (『新潮』2019年4月号に掲載)
火柱系のラーメン屋で働く女性が主人公の短篇小説。
主人公は妊娠していて既に出産予定日を過ぎており、それでもなおかつ店で働いています。子供の父親は子供の父親として彼女と共に生きていくことを放棄していて、彼女はごくなんでもないことのように、そんな人生の状況を受け入れ、受け流しているようすらみえます。しかし…
「火」というキーワードを軸に、大前粟生さんらしい独特なシュールさと人間愛に満ちた世界観で展開されていく物語で、可笑しくもあり、悲しくもあり、死と生について問いかけてくるような内容でした。