第43回すばる文学賞受賞作品 『犬のかたちをしているもの』 高瀬隼子(著) (『すばる』2019年11月号に掲載)
主人公は子宮に病気を抱えている女性(「わたし」)で、交際相手とは一年前からセックスレスの関係を受け入れてもらって同棲を続けています。
セックスが無くても愛情で繋がっている関係だと思っていた「わたし」ですが、突然、彼の子供を妊娠したという女が登場します。
物語は、この三人の男女の奇妙な関係が描かれるのですが、語りのうまさが際立つ作品でした。
セックスなしで男女の関係が成り立つのか、とか、犬を愛するように人は人を愛せない、とか、中々面白い視点があったと思います。語り手である「わたし」の、虚飾を省いた言葉の構築が良かったかな。