『とちおとめのババロア』
小谷野敦(著)
(『文學界』2018年3月号に掲載)
女子大の准教授が、ネットお見合いで知り合った女性と結婚する、というお話。
ただ、普通でないのは、相手の女性というのが、皇族の一員であり、つまり宮家の人間だったということ。
荒唐無稽であり得ないようなお話ですが、大学准教授である主人公の男と、徳田秋聲を研究しているというくだんの女性(雍子)の、かなりハイレベルな文学知識を織り込んだ会話など、けっこうリアルだったのではないかな、と思います。
主人公の男が、皇族と結婚した後も、カップラーメンを食べていいのか、という素朴な疑問にぶち当たる所など、そここにユーモアも散りばめられた作品でもありました。