『花子と桃子』 小山内恵美子(著) (『すばる』2020年2月号に掲載)
アパレル系のセレクトショップで働く二人の女の愛憎劇といったところ。
服を扱う仕事(販売)をして生きている女性の視点で描かれていて、服と体(裸)と女と女。テーマが圧倒的に縛られていていい。
女が女であることを意識して「女性」であるということのグロテスクな側面が、実に詳細に描かれていて、そこに男が登場してこないところなんかも、良かったと思います。
主人公が囚われている心の葛藤に既視感のあるのがやや気になりましたが、最後の一文は怖かった。けれど、これを怖いと捉えない解釈も成り立つと思うので、この振り幅に感心してしまいます。