崩れる脳を抱きしめて

2018年本屋大賞ノミネート作品

『崩れる脳を抱きしめて』

知念実希人(著)

(実業之日本社)

 

 

研修医として広島中央総合病院に所属している「僕」(碓氷蒼馬)は、地域医療の実習のため、葉山の岬病院に赴く。

そこは、海沿いに建つ、全病室個室の、富裕層向け療養型病院。

この病院で「僕」は、患者として入院していた弓狩環(ユカリさん)と出逢う。

ユカリさんは「僕」より年上の28歳で、悪性脳腫瘍(グリオブラストーマ)を患っていて、いつ頭の中の「爆弾」が爆発してもおかしくなかった。

医大を卒業し、医師の資格も持つ作者による、医療現場を舞台にした、恋愛ミステリー小説。

プロローグ、第一章、第二章、エピローグ、という構成になっていて、第二章の後半から、一気に(良い意味で)裏切られました。

プロローグからの流れで、第一章を読んでいた時には漠然と想定していた結末とは、そこに至るまでの展開も含めて、だいぶ違う流れになりました。

医療現場の細かい所の描写が、実際にそこに携わったことのある人の知識でちゃんと書かれていて、無理なく読めたのが良かったと思います。