『憤死』
綿矢りさ(著)
(『文藝』2011年秋(8月)号に掲載)
2011年に綿矢りささんが、『文藝』で発表した短篇小説です。
だいぶ前の作品にはなりますが、このとき綿矢さんはデビュー10周年ということで、『文藝』では彼女の特集が組まれていて、この短篇も、企画の一つとして書き下ろされたようです。
『インストール』で第38回文藝賞を受賞した時、彼女は17歳でした。2011年のことです。そこから10年という年月がこの時点で経っているのですが、その間、芥川賞を受賞したりもしていますし、『夢を与える』や、『勝手にふるえてろ』など、なかなか読み応えのある作品も書いています。
今回取り上げてみた『憤死』ですが、どういう話かというと、小中学校時代の女友達が自殺未遂をして入院しているというので、主人公の「私」が興味本位で会いに行ってみる、という内容。
小中学校時代は、あまり好きではなく、というか嫌いだった女友達なのですが、かなり個性的です。だいぶ自分勝手なところの多かった女友達ですが、彼女には”怒り”に関しての特別な才能(?)があります。
この”怒り”にこそ、作品は焦点を当てていて、あまりにも見事な女友達の「怒りっぷり」に、主人公は強く心を動かされます。
読者である私も、なかなかに心を動かされました。