『私、高校には行かない。』
青木淳悟(著)
(『文學界』2017年4月号掲載)
本作は、『四十日と四十夜のメルヘン』で、新潮新人賞を受賞して作家デビューした、青木淳悟さんの作品です。
スタジオジブリ制作のアニメ映画『耳をすませば』を下地にした、二次創作的な内容になっています。
映画の主人公を投影させた少女(読書好きの中学三年生の少女、澪)を、第三者的な視点で追いかけるように物語は進みます。途中、『となりのトトロ』や『平成狸合戦ぽんぽこ』などのジブリ作品も、(二次創作されて)登場します。
ジブリファンであれば、かなり楽しめる内容になっているかと思います。
ラストにきて、せっかく掴めそうだったものが一気に崩壊し、掴みきれないままにエンドロール手前でしぼんでしまった感じなのが、個人的にはとても残念でした。
とはいえ、現実とファンタジーが不思議な遠近法で繋がっているかのように立ち現れてくる世界は、とても魅力的で、楽しい読書でした。