◆三宜楼(さんきろう )

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所在地:北九州市門司区清滝3-6-8(見学無料

写真が下手ですいません(-_-;)

今回は、北九州の門司港の、歴史ある料亭「三宜楼」で、文学に関係のある「俳句の間」をピックアップしてみました。

三宜楼は、当時貿易港として繁栄した門司港を象徴する料亭で、高浜虚子や出光佐三、地元の名士、国内外の文人経済人が利用していたそうです。現存する木造3階建ての料亭の建屋としては九州最大級の規模。

その前に……

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2階の百畳間。かつてここで宴会が催され、踊りや能が披露されていました。

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電話室。電話ボックスのような小部屋です。

ボランティアガイドさん曰く、広間廊下に設置されているのは、

気に入った芸者にここへ電話をつないでもらって、周囲に話の内容が

漏れないようにするためとのこと。八番というのは部屋番号。

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階段をあがった3Fに「俳句の間」はあります。

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いよいよその場所へ。

注:ガイドさんがいないと見学できないようです。

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高浜虚子が1936(昭和11)年に欧州へ出発する前に当時の門司市長が虚子を招いて宴を開いた部屋を再現したものです。左が虚子、右が北九州では有名な杉田久女の句。

風師山梅ありという登らばや 虚子
谺して山ほととぎすほしいまゝ 久女

の二幅の掛軸が並んで掛けられています。
久女の「谺して(こだまして)」の句は風景院賞金賞の入選作。

それに比べ、虚子の句は……うーん、これって名句???

風師山というのは、三宜楼の裏手にある山です。そこに梅があると聞いたから見に行こう、という内容ですかね?

昔は、マンションなどの高い建物がなかったため、そこから下関側の対岸が一望できたそうです。唐戸市場や赤間神社も拝めたとか。そう考えると、少しは句の背景が浮かびます(風師山の道中に、門司港が一望できる有名な「すいげつ」という喫茶店があります)。

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「俳句の間」の廊下から見た眺望

ちなみに杉田久女は、悲劇的な人生を送った女性俳人で、高浜虚子を師と慕っていますが、確執もあります。

そのへんのところは、北九州出身の松本清張の短篇「菊枕」に出てきます。『或る「小倉日記」伝』(芥川賞受賞作)の収録作品です。

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