芥川賞、群像、新潮、すばる、文藝、文學界等の新人賞受賞作の読書感想

作家の最期

  • HOME »
  • 作家の最期

作家は、自ら死を選ぶ人が多いように見受けられます。

老衰か病死か自殺だったか、ときどきごっちゃになります。

様々な作家の向き合った「死」を、ここであげてみました。

 

 

羅生門・鼻 (新潮文庫) 河童・或阿呆の一生 (新潮文庫) 蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫) 地獄変・偸盗 (新潮文庫)
 致死量のベロナール及びジアールによる服毒自殺。

 「唯ぼんやりした不安」という言葉を残していますが、狂言自殺だった可能性もあると言われているようです。友人の久米正雄に託したとされる遺書に、『或る旧友へ送る手記』などと題している所が、最後まで文学者らしい感じですね。もしも本当に狂言自殺で、本当はもっと早く誰かに見つけてもらいたかったのだとしたら、生き残った時のことを想定して書かれた手記ってことですよね。

真相は『藪の中』ですが、夭逝が惜しまれる作家の一人ですね。

 小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫) 或る女 (新潮文庫) 一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫) 惜みなく愛は奪う―有島武郎評論集 (新潮文庫)
「 愛の前に死がかくまで無力なものだとは此瞬間まで思はなかつた」

……そんな言葉を残して、人妻、波多野秋子と、軽井沢の別荘で首を吊って自殺しました。当時、有島は妻を肺結核で亡くしていて独り身でした。

遺体は梅雨の時期に一月ほどそのままで、天井からぶら下がっていた二人の遺体を発見した別荘の管理人さんは、さぞ驚いた事でしょうね。腐乱がかなり進んでいたので、顔からの判別は出来ず、残されていた遺書で身元を確認したとか。

「愛の前に死がかくまで無力」なんて、中庸なことを認めなかった有島らしい名言ではないでしょうか。

第一阿房列車 (新潮文庫) 冥途・旅順入城式 (岩波文庫) ノラや (中公文庫) 東京日記 他六篇 (岩波文庫)
 自宅で、老衰の為。82歳。

家族に看取られて、とても安らかな死だったそうです。普通は、死ぬ時はどんなに安らかな、と言っても少しは苦しむそうですが、百間さんの場合、立ち会った医者も驚くほどに、本当に安らかなものだったとか。

 雪国 (新潮文庫 (か-1-1)) 伊豆の踊子 (新潮文庫) 掌の小説 (新潮文庫) 眠れる美女 (新潮文庫)
 仕事場である書斎で、ガス自殺。

72歳でした。

自殺の理由ははっきりしてないのですが、直前に受けた盲腸の手術から体調を崩してもいたそうで、そういうことが精神面に大きく影を投げたとも言われています。

また、裁判沙汰になった臼井吉見氏の『事のてんまつ』では、川端が家政婦の娘に失恋した経緯などが小説形式で書かれ、自殺の原因かと憶測されたりもしました。

川端は初期の頃、 自分の生い立ち(孤児であり、祖父に育てられたこと)から生まれたとされる『孤児感情』と、青年時代に経験した実際の失恋事件とを絡めて、幾つかの作品を書いています。(名作『伊豆の踊子』も、そうして生まれた作品とされています)。このことから、自殺と恋愛ということを合わせて考えた研究者がいても、おかしくはないのかもしれません。

≪文豪≫というイメージが強い方ですが、こと恋愛に関しては、非常に繊細かつセンチメンタルな考え方を持っていたようです。

また、輪廻転生にも、深く興味を持っていたようです。

 北村透谷選集 (岩波文庫 緑 16-1) 北村透谷 (ちくま学芸文庫) 北村透谷/高山樗牛 (近代浪漫派文庫) 北村透谷
27歳の時、自宅の庭続きの公園内で縊死。

以前から、精神的に不安定だったようです。

 斜陽・人間失格・桜桃・走れメロス 外七篇 (文春文庫) きりぎりす (新潮文庫) お伽草紙 (新潮文庫) ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
愛人山崎富栄と玉川上水で入水自殺。享年38歳。

遺体は一週間後に通行人に発見される。妻美知子宛に「小説を書くのがいやになつたから死ぬのです」と自殺の動機を説明して、あなたが嫌いになったからではない、という内容の遺書を書いていたようです。

 蟹工船・党生活者 (新潮文庫) 独房・党生活者 (岩波文庫) 防雪林・不在地主 (岩波文庫) 小林多喜二の手紙 (岩波文庫)
 悲惨な最期を遂げた作家と言えば、やはりこの人でしょう。病気でも、自らに命を絶ったのでもなく、特高警察に逮捕され拷問された末に死亡、という悲劇的な終わり方でした。享年30歳。1933年の出来事です。

この小林の死から6年後、第二次世界大戦がはじまります。

現代では信じられない話ですが、言論統制が厳しかった時代のもたらした哀しい出来事ですね。

 山頭火句集 (ちくま文庫) 山頭火のぐうたら日記 山頭火随筆集 (講談社文芸文庫) 種田山頭火作品集
 10歳の時に母親を、36歳の時に弟を自殺で亡くしています。家業が上手く行かずに、生活に困窮した半生でした。行乞をしながら旅をして俳句を詠むということを長く続けましたが、最晩年は草案に落ち着いて、穏やかに暮らせたようです。

最後は、望んでいた通りの「ころり往生」だったみたいですよ。



 李陵・山月記 (新潮文庫) 中島敦全集〈1〉 (ちくま文庫) 中島敦 (ちくま日本文学 12) 光と風と夢・わが西遊記 (講談社文芸文庫)
「書きたい書きたい。俺の頭の中にあるものを。みんな吐き出してしまいたい」そう夫人に訴えて涙したのが最後だったようです。

気管支喘息で、33歳という若さでの死でした。

 檸檬 (280円文庫) 梶井基次郎 (ちくま日本文学 28) 檸檬 (角川文庫) 檸檬・冬の日―他九篇 (岩波文庫 (31-087-1))
夭折が惜しまれる作家の一人ですよね。生前よりも死後に作品の価値を見出されているという意味でも、本当に残念です。

享年31歳。肺結核でした。

 放浪記 (新潮文庫) 浮雲 (新潮文庫) 戦線 (中公文庫) 貧乏こんちくしょう 林芙美子作品集 (廣済堂ルリエ文庫)
連載記事の取材で訪れた二件の料亭で飲食して帰宅後、苦しみだし、そのまま心臓麻痺で亡くなりました。

葬式の時、川端康成氏が「故人は、文学的生命を保つため、他に対して、時にはひどいこともしたのでありますが、しかし、あと2、3時間もすれば、故人は灰となってしまいます。死は一切の罪悪を消滅させますから、どうか故人を許して貰いたいと思います」と弔辞の中で述べたというからには、生前、何かあったんでしょうね。憶測では何も書けませんので、ここまでにします。

桐野夏生が、林芙美子を題材にした小説「ナニカアル」を書いています。ご興味のある方は、ご一読を。

 夏の花・心願の国 (新潮文庫) 原民喜全詩集 (岩波文庫) 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫) 夏の花 (集英社文庫)
 1951年3月、国鉄中央線の吉祥寺駅 – 西荻窪駅間の線路に身を横たえ鉄道自殺。享年45歳。

広島出身で、被爆体験があり、小説「原子爆弾」を書いています。

 金子みすゞ名詩集 わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集 こだまでしょうか、いいえ、誰でも。―金子みすヾ詩集選 明るいほうへ―金子みすゞ童謡集 (JULAの童謡集シリーズ)
書店員と結婚しましたが、夫より性病をうつされ、童謡執筆を禁じられたそうです。離婚し、愛児の引き渡しを迫られて、昭和5年(1930年)26歳で自らの命を絶ちました。

この薄幸の詩人の経歴は長いあいだ謎でしたが、詩人矢崎節夫の努力により、全集が刊行され、若い世代の支持を得て、TV化、映画化されました。

 子規句集 (岩波文庫) 病牀六尺 (岩波文庫)仰臥漫録 (岩波文庫) 歌よみに与ふる書 (岩波文庫)
結核性瘍推骨カリエスのため、35歳で亡くなりました。

絶筆三句は、次のとおりです。

”糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな”

”をとゝひの糸瓜の水も取らざりき”

”痰一斗糸瓜の水も間にあはず”

 

糸瓜が多いですが、窓からみえたのでしょうか。

沢賢治

 新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫) 読んでおきたいベスト集! 宮沢賢治 (宝島社文庫) 新編宮沢賢治詩集 (新潮文庫) 新編 風の又三郎 (新潮文庫)
急性肺炎のため岩手県花巻の自宅で死去、38歳。困難の人、という印象がありますね。

絶詠は、下記の二句です。

”方十里稗貫のみかも稲熟れてみ祭三日そらはれわたる”

”病のゆゑにもくちんいのちなりみのりに棄てばうれしからまし”

 

生前はほとんど認められることはなかったそうですが、没後に草の心平が編した全集によって注目を浴びました。

 思い出トランプ (新潮文庫) 父の詫び状 <新装版> (文春文庫) あ・うん (文春文庫) 新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)
51歳の時、台北発高雄行きのジェット旅客機に搭乗したところ、空港から150キロ離れた上空で突然機体が爆発したそうです。乗客110名全員とともに亡くなりました。

自身の死を予感していたのか、死後、茶封筒の原稿に、家族あての走り書きの遺書が発見されました。

当時、ワイドショーなどで大変な騒ぎになったそうですね。

 

PAGETOP
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.