読書感想
「十七八より」乗代雄介(著)((第58回群像新人文学賞受賞作品)
「十七八より」 乗代雄介(著) (講談社) (第58回群像新人文学賞受賞作品) かつて十七、八歳だった自分を「あの少女」と呼び、あたかも他人事のようにして語り手が物語を紡ぐという小説です。選考 …
「朝が止まる」淺川継太著(第53回群像新人文学賞受賞作)読書感想
2016年8月2日 読書感想
「朝が止まる」淺川継太著 (『ある日の結婚』(講談社)に収録) とても現代的で、センスのいい作品だと感じました。選評会では、安部公房や村上春樹の名前も飛び出したようです。所々に、微妙な形容詞が …
西加奈子著「サラバ!」上・下 (小学館) 読書感想
「サラバ!」上・下 (小学館) /西加奈子著 この作品は第152回直木三十五賞を受賞しました(2015年度の本屋大賞では2位でした)。 主人公の「僕」こと「あくつあ …
西加奈子著「舞台」(講談社) 読書感想
「舞台」(講談社) /西加奈子著 自意識過剰な青年「葉太」が、ひとりニューヨークに旅行で訪れ、セントラル・パークでパスポート等貴重品の入ったバッグを盗まれる、というお話です。 葉太の自意識の過 …
「サバイブ」加藤秀行著(第120回文學界新人賞受賞作)読書感想
「サバイブ」加藤秀行著 (『シェア』(文藝春秋)に収録) 外資系エリートの友人二人(亮介とケーヤ)と同居する主人公「俺」。高級マンションに激安の家賃で住まわせてくれている亮介とケーヤを「旦那」 …
「ヴェジトピア」杉本裕孝著(第120回文學界新人賞受賞作)読書感想
「ヴェジトピア」杉本 裕孝 著 (第120回文學界新人賞受賞作) (『文學界』2016年6月号掲載) 自分を植物だと信じ込んでいる女が、花屋を営む男と結婚し、子を身籠る、という話。 劣等感の表れなのか、夫は …
「吾輩ハ猫ニナル」横山悠太(著)(第57回群像新人文学賞受賞作)読書感想
吾輩ハ猫ニナル 横山 悠太 (著) /講談社出版 題名からして察せられるように、これは夏目漱石の有名な小説のパロディーであり、オマージュの込められた作品です。 『日本語を勉強する中国人の為の小説』という …
「美しい私の顔」中納直子著(第54回群像新人文学賞受賞作)読書感想
「美しい私の顔」 中納直子著 (『群像』2011年6月号掲載) 家具屋で働いている、ごく普通の若くて(おそらく可愛らしい外見の)女性が、仕事や職場の人間関係などの疲れから顔面神経麻痺に罹っ …
「肉骨茶」高尾長良(著)(第44回新潮新人賞受賞作)読書感想
肉骨茶 高尾長良(著) (第44回新潮新人賞受賞作) 新潮社 物語りは、食べることへの強迫観念を抱えた女子高校生の赤猪子が、母親とのマレーシア旅行中に、友人ゾーイ―の手助けを得て逃亡を図るとこ …
「鶏が鳴く」波多野 陸 (著)(第56回群像新人文学賞受賞)読書感想
『鶏が鳴く』 波多野 陸 (著) (第56回群像新人文学賞受賞作) 好き嫌いがはっきり分かれてしまう作品ではないでしょうか。ここでは好き嫌いは書くつもりはありません。ただ、感情移 …
第155回芥川賞「コンビニ人間」村田沙耶香さん受賞
発表前から話題になっていた崔実さんの「ジニのパズル」と、どちらが受賞するかと思っていましたが、かねてより期待していた通り、村田沙耶香さんが受賞されて、妙にホッとしています(なにぶん、同世代なもので……)。 今回の受賞作品 …
「コンビニ人間」村田沙耶香著 読書感想
文學界2016年6月号 「コンビニ人間」 村田 沙耶香 著 (『文學界』2016年6月号掲載) 「授乳」(第46回群像新人文学賞優秀作)、「ギンイロノウタ」(第31回野間文芸新人賞)、「しろいろの街の …
「狂人日記」について
2016年7月17日 気になる作品、著名人読書感想
狂人日記 (講談社文芸文庫) 色川 武大 著 (読売文学賞受賞作) 色川武大さんの「狂人日記」を紹介させてもらいます。 「狂人」と聞いて、まずほとんどの人が、”通常の感覚が狂っていて、人間的な感情や思考、常識が通用しない …
「私の消滅」中村文則著 読書感想
2016年7月17日 気になる作品、著名人読書感想
「私の消滅」 中村文則著 (文藝春秋) 「私」とは、一体何なのか? 幾つかの手記や、人物の独白、その他添付資料やメール、などといった断片的な文章を繋ぎ合わせて、この奇妙な作品は成立していま …
「拳の先」角田光代著(文藝春秋)
2016年7月15日 気になる作品、著名人読書感想
拳の先 角田光代著 /文藝春秋 題名からも想像できるように、これはボクシングの話です。作者は週に一回、輪島功一ジムに通っていますから、その経験がこの作品に生きたに違いありません。 主人公を体育会系ではない文 …