読書感想
『推し、燃ゆ』宇佐見りん(著)第164回芥川賞候補作品 読書感想
第164回芥川賞候補作品 『推し、燃ゆ』 宇佐見りん(著) (『文藝』2020年秋号に掲載) デビュー作の文藝賞受賞作『かか』で、三島由紀夫賞を受賞した宇佐見りんさんの、二作目の作品です。 前作でも感じまし …
『わがままロマンサー』鴻池留衣(著)読書感想
2020年12月16日 気になる作品、著名人読書感想
『わがままロマンサー』 鴻池留衣(著) (『文學界』2020年12月号に掲載) BL漫画家として活躍する妻と、小説家、そして1人の美青年が加わって展開される、奇妙な三角関係。 小説家のプロフィールは作者自身 …
『母影』尾崎世界観(著)読書感想
2020年12月13日 気になる作品、著名人読書感想
『母影』 (『新潮』2020年12月号に掲載) なんだかちょっと切ない感じのする、それでいて温かくもあり、ある意味頼もしい母娘の物語として読みました。小学生(恐らく低学年)の娘の語りで綴られています。 母親の職場と、親子 …
『コンジュジ』木崎みつ子(著)第44回すばる文学賞受賞作品 読書感想
第44回すばる文学賞受賞作品 『コンジュジ』 木崎みつ子(著) (『すばる』2020年11月号に掲載) 90年代のロックスターの存在を、彼の死後に知り、そこから恋に落ちた1人の少女(女性)の物語。 主人公の …
『追いつかれた者たち』濱道拓(著)第52回新潮新人賞受賞作品 読書感想
第52回新潮新人賞受賞作品 『追いつかれた者たち』 濱道拓(著) (『新潮』2020年11月号に掲載) 田舎町で起こった凄惨な監禁暴行事件の顛末を描いた今作は、人間の中に潜む暴力性を追求しています。 暴力を …
『わからないままで』小池水音(著)第52回新潮新人賞受賞作品 読書感想
第52回新潮新人賞受賞作品 『わからないままで』 小池水音(著) (『新潮』2020年11月号に掲載) 両親の離婚により、一度は壊れたかに見えた家族の喪失と再生の物語として読みました。無機質で研ぎ澄まされた文体が素晴らし …
「ウィーン近郊」黒川創(著)読書感想
2020年11月20日 読書感想
「ウィーン近郊」 黒川創(著) (『新潮』2020年10月号に掲載) ウィーンの自宅アパートで亡くなった兄の葬儀や遺品整理などのために日本からやってきた妹。そこで彼女が対面するのは、異国の地で長い歳月を送った兄の生きた現 …
『脱皮』小林エリカ(著) 読書感想
2020年11月8日 読書感想
『脱皮』 小林エリカ(著) (『群像』2020年6月号に掲載) その病気にかかると、少しずつ言葉をなくしていき、最終的には日常生活も出来なくなって、「虫」と罵られ、嫌悪される存在になってしまう。そういう病気が蔓延しはじ …
『滅私』羽田圭介(著)読書感想
2020年9月24日 読書感想
『滅私』 羽田圭介(著) (『新潮』2020年9月号) 物を持たないシンプルな生活を良しとして、自らその生活を実践し、SNSなどで発信している男の物語。 「身軽生活」なるサイトを運営し、「MUJOU」なるオ …
『海がふくれて』高橋弘希(著) 読書感想
2020年9月14日 読書感想
『海がふくれて』 高橋弘希(著) (『新潮』2020年8月号に掲載) 海辺の漁師町で生まれ育った17歳の少女。その瑞々しさが文面に溢れていて繊細。また、少女の視点を通して淡々と描かれる海辺やそこに暮らす人々 …
『いい子のあくび』高瀬隼子(著) 読書感想
2020年8月25日 読書感想
『いい子のあくび』 高瀬隼子(著) (『すばる』2020年5月号に掲載) 『犬のかたちをしているもの』で、すばる文学賞を受賞した高瀬隼子さんの、受賞後第一作目の作品です。 デビュー作もそうですが、物語に …
『ひゃーへーひゃーへーひゃらひゃーへー』篠原勝之(著) 読書感想
2020年8月21日 読書感想
『ひゃーへーひゃーへーひゃらひゃーへー』 篠原勝之(著) (『文學界』2020年8月号に掲載) 山奥の作業場で普段は一人暮らしをしている七十代の彫刻家の男が、脳梗塞になって入院することになる話。 実体験な …
『掌』西加奈子(著) 読書感想
2020年8月21日 読書感想
『掌』 西加奈子(著) (『すばる』2020年6月号に掲載) 語り手の「私」と、その叔母であるアズちゃんとの交流を描いた作品。 独身の中年女性であるアズちゃんは、女の子に人生を教えてくれる「ちょっと変わっ …
『かたわら』小山田浩子(著) 読書感想
2020年8月20日 読書感想
『かたわら』 小山田浩子(著) (『新潮』2020年7月号に掲載) 保育園に通う女の子の母親が語り手の小説。 昔飼っていた犬の記憶、子供の頃に殺した虫の記憶、平穏な日常。 全て、なんでもないことで、特にこ …
『リリアン』岸政彦(著) 読書感想
2020年8月18日 読書感想
『リリアン』 岸政彦(著) (『新潮』2020年5月号に掲載) 音楽関係の仕事をしていて、それなりに(音楽で)飯が食えてる、でも夢は叶っているような叶っていないような、そんな中年の男が語り手の、大阪を舞台に …