『夜の底の兎』 

木村紅美(著) 

(『群像』2019年9月号に掲載)

 

事実婚の夫とその浮気相手の間に子供が出来て別れる事になった主人公は、もうすぐ子供の産めなくなる年齢に差し掛かった女性です。

産まない事を選んで生きてきたはずなのに、その生き方に自信が持てなくなり、揺らいでしまっている気配です。

そんな彼女が、30年前に遊んだ友達、ゆめちゃんを思い出し、夢(幻想)とも現実ともつかない過去に思いを馳せる物語です。

どこか童話めいた世界と、ほろ苦い大人の現実が混ざり合った、独特な読み心地で、夢ちゃんという人物の造形が面白かった。