『螺』

米田夕歌里(著) 

(『すばる』2019年5月号に掲載)

自分の理想を子に押し付ける、いわゆる毒親に育てられた姉妹が大人になって直面する現実と、子供時代の記憶の物語。

昨日の自分と今日の自分が絶対に同じ人間だとは限らないのではないか?

自分という存在が生涯を通じて一貫性を持たないのかも知れないという、自己存在への疑問が、作品の底流にあり、面白いと思いました。そこをどこまで深く掘り下げられたのか。

作品のテーマとは別に、貝殻博士なる人物の造形が面白かった。この人物との交流を主軸にして自己存在に対する疑問をさらに深めても良かったのではないか(勝手な個人的な所感です)。