火のないところに煙は

『火のないところに煙は』

芦沢央(著)

(新潮社)

 

 

 

怪談やホラー小説を読むのは好きだが、自分が書くとなるとどうも尻込みしてしまう、と、そんな小説家が「怪談」をテーマとした短篇を書くことになる、という流れで、この小説家の語りで六つの物語が綴られます。

一話から五話まで、それぞれに独立している話なのに、書き手であり語り手でもある小説家を中心に、登場してくる人物間の関係や背景が少しずつ繋がっていたりして、そして最終話である六話目で、戦慄の真実が浮かび上がる……というもの。

ホラーとしても十分なリアル感で迫ってくる小説ですが、よく出来たミステリー作品だったんだと、読み終えてみて気づきました。