ニャンニャンにゃんそろじー

『ニャンニャンにゃんそろじー』

有川浩/ねこまき(ミューズワーク)/蛭田亜紗子/北道正幸/小松エメル/益田ミリ/真梨幸子/ちっぴ/町田康

(講談社)

 

 

 

9人の猫好き作家たちによる、猫をもチープにした小説(5篇)&漫画(4篇)からなる作品集。

猫をモチーフにした短篇小説のみを集めたアンソロジーとしては、海外作品の翻訳ものですが、1998年に扶桑社から出版されている『魔法の猫』が、すぐに頭に浮かびました。こちらは、単に「可愛らしい」だけでない、様々な「猫」が出てきて、中には猫好きの読者を震え上がらせるような恐ろしい殺人鬼的な猫も出てくる、非常にユニークな作品集です。

一方、本作(『ニャンニャンにゃんそろじー』)は、『魔法の猫』よりも、だいぶ猫好きの感性に寄り添った作品とも言えて、心がほっこりする作品ばかりです。

ただし、単純に、「猫」→「可愛い(ハートマーク)」なだけではない、かなり文学性も重視した短編小説が厳選されていて、その小休憩のように、ぽっこりする猫の漫画が挿入されている、という感じ。

特に心を掴まれたのは、蛭田亜紗子さんの『ファントム・ペインのしっぽ』でした。

これは、結婚生活に失敗した一人の女性が、仔猫を飼いはじめたことで、封印していた心の傷に向きあい、再生にむけて進みだす話です。

有川浩さんの『猫の島』も、家族の微妙な関係性が丁寧に描かれていて、大人より大人っぽい、けどやっぱり少年、という主人公(ぼく)のキャラクターなど、なかなか読みごたえがあって良かったです。

町田康さんの『諧和会議』のラストは意味深で、「聞こえない言葉の花」について、長らく考えを巡らせました。

読み終えた感想としては、なんだかんだいって、”やっぱり猫は可愛いいにゃー” の、一言です。

ありきたりすぎる感想になってしまいましたが(汗)、猫の可愛さに、理屈や説明はいらないのだ! ……という結論です(笑)

 

(参考図書)

魔法の猫 (扶桑社ミステリー)

 

『魔法の猫』

(扶桑社)

(→読書感想はこちら)